一般相対性理論って何?
本稿の対象者:物理に興味のある人、広大な宇宙に思いを馳せる人、物理学科B1、B2、B3
本稿の目的:一般相対論が重力理論であることを知る、Einstein方程式が物理的に何を言っているのかを知る。
Einstein方程式
はじめに
みなさんこんばんみ〜☆(深夜3時)
進捗いかが??いい感じ??
今回は、1916年にEinsteinという人が提唱した理論、一般相対性理論についてお話していこうと思います。私のようなひよっこがこのような記事を書くというのは大変恐縮なのですが、やっちゃうぞ☆(物理の人はよければコメントしてください。この表現よくないよ〜とか。)
さて、この記事では数式は一つしか出ません。都市伝説によると、一般向けの本は数式が一つ出てくるたびに売上が10%落ちるそうです。私も、よく分からん数式を出されたらそっと本を置きますね。今回出る数式はこれ一本!なので売上は10%しか落ちない!素晴らしい!
Einstein方程式
はい10%帰った〜!!来世は友達になろうぜ!
本稿の目的は、一般相対性理論とは何を言っているのかをなんとなく理解し、上の式をなんとなく理解しよう!ということです。さらに知りたい人にはそれ用の本を下においておきます。
(進んだ注釈:宇宙膨張のお話は出てこないので宇宙定数は0にしておきます。)
一般相対性理論って何?
最初に、一般相対論についてお話しましょう。一般相対性理論は、1916年にA.Einsteinによって発表されました。一般相対論は別名「重力理論」とも呼ばれ、重力という力(我々も今も感じております。)を記述する理論です。Einsteinは1905年に特殊相対論という理論も提唱していますが、その名の通り一般相対論は特殊相対論を包括するような理論です。(一般相対論の特別な場合が特殊相対論)
一般相対論以前に重力を扱う理論としては、Newtonが発見した万有引力の法則がありました。これはシンプルで、全ての物と物は引き合っていて、それを重力と呼んでいました。しかしEinsteinの提唱した新しい重力理論によると、重力は4次元時空(時間1次元+空間3次元)の歪みによって生じる力で、物体は物を引っ張るのではなく空間を曲げる働きをするんだということです。つまり、物体がある→空間が曲がる→空間の曲がりが伝わって物体が動く、という因果があるとEinsteinは言いました。
しかも一般相対性理論の帰結として、重力によって光は曲げられるというのです。これは今日、重力レンズという効果で実証されています。アインシュタインすごい。
さらに最近だと、重力波の観測は2017年にノーベル物理学賞を受賞しました。
そして今年の5月、ブラックホールの直接観測に成功しました。これらは全て100年ほど前に一般相対論が予言したことです。アインシュタインすごい。
Einstein方程式って何?
ではここではEinstein方程式とは何かを見ましょう。こちらです。
Einstein方程式
なるほどわからん。まずこれを眺めて思うのは、 という文字と、なにやらといった添字がついているということが分かります。一つ一つ解読していきます。
まず という文字、これは計量といって、その時空の性質を規定する、時空の最も基本的な量です。これは例えば平面や球面などにはそれぞれ違ったが与えられます。さらにこのというのは"局所的な"量です。つまり、位置や時間によってその表式は変わっていきます。要するに、重力というのは一瞬で伝わらないよってことです。(これが因果律を破らないために必要。)この が分かれば、空間の曲がり具合などが記述できます。
次に という量、これは空間がどれだけ曲がっているかを表す量です。これもと同じく局所的な量で、その具体的な式は を用いて表されます。
次に という量、これは物体のエネルギーを表しています。アインシュタインが1905年に提唱した特殊相対論によると、全ての物体はそこにいるだけで莫大なエネルギーを持っています。これを静止エネルギーといいます。したがって、物体はそこにいるだけでこのという文字の計算に寄与してきます。
残りのはそれぞれ円周率、重力定数、光速なんですが、まぁ比例定数みたいなもんです。
さて、ここまでで文字の説明が終わりました。 は空間を規定する量、は物質のエネルギーを表します。あと、 の添字はテンソルという量を表すのですが、ここでは行列の成分だと思って差し支えないです。(行列を知らなくても、これらの添字はただの番号だと思ってくれれば良いです。)
結局、Einstein方程式の表す意味は、結局こういうことになります。
(空間の曲がり具合) = (物質のエネルギー)
つまり、物質があれば空間が曲がり、空間が曲がっていればそこに物質があるだろうという式です。これが一般相対性理論の真髄です。
Einstein方程式というのは空間の曲がりと物質を直接結びつける式です。例えば地球があるからその周りの時空は歪み、その歪んだ時空に我々は落ちています。それを我々は重力と呼んでいるのです。
まとめと本の紹介
一般相対論とは重力を記述する理論で、物体があれば空間が歪み、その歪みによって我々は落ちていく(引っ張られる用に感じる)のでした。そしてEinstein方程式とは、空間の曲がり具合と物質のエネルギーを結びつける方程式でした。
さて、上記の文に納得がいけば、僕の勝ちです。しかし負けず嫌いな、知的好奇心旺盛なあなたには、以下の本をおすすめします。(追記:本のオススメをしたらつい書きすぎてしまいました。これはおまけなので見なくてもいいです。)
- 作者: 小林晋平
- 出版社/メーカー: 森北出版
- 発売日: 2018/12/12
- メディア: 単行本
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一般相対論を勉強したいと思った時に、まず苦労するのが数学です。これは物理学科でも苦労します。本書は、まず「ブラックホールを記述する数式を理解したい」という明確なモチベーションから入ります。パラパラとめくると最初にシュバルツシルト計量という難しい式が出てくるので面食らうかもしれませんが、その式はこの本の最終到達地点ですので心配しないでください。この本は15歳でもわかるように三平方の定理から微分や行列についても書かれていて、最後はブラックホールの話までしてくれます。この記事で扱った やEinstein方程式についても丁寧に解説されており(もちろん15歳でもわかるような)、一般相対論を全く知らない人でも頑張ってかじりつける本だと思いました。本当に三平方の定理や「速さってなんだっけ、速度ってなんだっけ」から始まるので、文系理系問わず読めると思います。5章では特殊相対論について学びます。ここから少しむずかしいかもしれませんが、ちゃんと行列とはなにか、行列の掛け算はどうなるのかを丁寧に説明しながら話が進むので、ゆっくりやればいいと思います。6章では空間が曲がっているということを数学的に表す方法を学びます。個人的にここが難所だと思うので、紙とペンを持って追っていったほうがいいと思います。もちろん丁寧に丁寧に説明されています。7章でようやく一般相対論が説明されます。この記事で扱ったことがもっと詳しく書いています。8章でブラックホールを記述する計量である、シュバルツシルト解に到達します。そこから見える景色というのは絶景でしょう。
(実際に一度で全て読み通す必要はなく、難しいなと思ったら後は積読したり周りの物理学徒に聞いたりするといいです。私にDMとばしてもらえば一緒に考えます。一人で全部わかる物理の本などないと思っています。)
また、Amazonのレビューにもあるように、まだ一般相対論を学んでいない物理学徒にもおすすめします。テンソルについてや、計量が与えられたときの接続係数の泥臭い計算も載っています。(僕は一年生の頃テンソルが何か分からなくて暴れていました。)
他にも一般相対論によって彗星の軌道を調べたり、ビッグバン後の宇宙がどのように膨張してきたか、皆既日食によってどれくらい光は曲げられるか、ブラックホール周りのカオス、ブラックホールに電荷があったら、ブラックホールが角運動量を持ったらどうなるか(この間観測されたブラックホールは、ブラックホール周りのガスについて流体シミュレーションと見比べて見るとどうも角運動量を持ってそうらしいですね。)など、面白い話はもっといっぱいあります。
では、私は寝ます。おやすみなさい。
Reference
[1]重力波とは? « KAGRA 大型低温重力波望遠鏡