平凡な社会人の日記

平凡な社会人の日記です。怠惰な毎日を送っております。

色って何?〜空は青いし夕日は赤いし、腹は黒い。〜

本稿の目的:色とは何かを知る。
本稿の対象者:中学生、高校生、大学生、社会人一般(最初に述べる結論が分かる人には既知のことです。)

結論

色とは、光の波長領域に名前をつけたものである。また、我々が見る物体の色は、その物体が吸収する色の補色である。

keywords:色、光、波長、補色

導入

空は青い。夕日は赤い。(腹が黒い人もいるが、それはまた別のお話。)身の回りの物を見渡してみると、我々の世界は実に様々な色に満ちている。私は赤系の色覚異常を持っているが、それでもこの世界は色とりどりの美しさをまざまざと見せつけてくれる。我々は色によって心を動かされすらする。私は淡い青と淡い赤が好きで、身の回りの物はこの2色が多い。これを書いている今も私の靴の赤は、2年の月日を思わせるような、老いた赤い色をしている。

ところで、赤色はなぜ赤色なのだろう。「現象には必ず理由がある。」と「ガリレオ」で福山雅治さんが言っていたように、赤色を赤色たらしめる要因があるはずである。本稿では、まず色とは何か、次にそれぞれの色がその色である理由について見ていこう。

色とは何か

色と光は関係がありそうな気がする

色というのを、私も、そしておそらく色覚異常を持たない皆さんは私よりよく知っているだろう。赤とか、青とか、そういうやつだ。ところで、色と光は何か関係しそうな気がする。例えば虹というのは、太陽の光が空気中の水蒸気によって屈折されるときに、色ごとに屈折の角度が違うことにより生じる現象である。また、りんごは赤いらしいが、ブラックライトを当てると青くなりそうだ。

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皆さんりんごって知ってます?私は知ってますよ。

光ってなんだ?

ここで、色と光の関係について述べる前に、光について知っておこう。光は、電磁波という「」である。(もちろん理系の皆さんは光が波でも粒でもある「量子」であることは知っているのだが、我々の生活のスケールでは光は波として振る舞う。)光の例としては、スマートフォンWi-Fiから出る電磁波も光である。この例からもわかるように、電磁波(光)というのは、常に見えるものではない。しかし見える光というものがあって、これを可視光という。可視光は波長(光の波の長さ、下図)でいうと、380\sim780{\rm nm} 程度である( 1{\rm nm}=10^{-9}{\rm m}{\rm nm}ナノメートル)。

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波長の定義。波の長さをこのように決める。[1]

これが長いのか短いのかはさておき、大事なことは、光は波であるということ、そして可視光というものがあって、人間は全ての波長(波の長さ)の光を認識できるわけではないということである。

色とは何か

では色とは何か、光と色の関係を見てみよう。色とは、目に入ってくる光の波長に名前をつけたものである。どういうことか。実は我々が赤と認識する色には、それに対応する光の波長の領域がある。青も黄色も、同様に対応する光の波長領域が存在する。(下図参照)

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色には、それぞれ対応する光の波長領域がある。[2]

結局、色とは、可視光領域の光(目で見える範囲にある波長をもつ光)に名前をつけたものである。

赤色のものは何故赤色に見えるのか

なるほど、「色とは、光の波長(波の長さ)に名前をつけたものであり、各色にはそれぞれ対応する光の波長の領域がある」ことを知った。素晴らしいことだ。では赤色に見えているあの丸くてシャリッとしたやつは、赤色の光(波長にして700{\rm nm}くらい)を出していて、それが我々の目に入っているから赤く見えるのか?

いや、そうではない。太陽が白く見えるのは太陽が光っているからであるが、りんごが赤く見えるのはりんごが赤く光っているからではない。(光るりんごがあれば別。)りんごが赤いのは、りんごが光源(光ってるやつ、太陽とか電球とか)から出た光を反射して、その反射された光が我々の目に入るときに、赤色の波長をもつ光が「相対的に強く」残っているからである。ところで、「相対的に強く」という言葉を使ったが、何と比べて赤色の光の成分が強いのだろうか。
ここで補色という概念を導入する。補色とは、大雑把に言うと「反対の色」である。(下図参照)

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補色の概念。この輪っかは色相環というやつ。[3]

りんごが赤い理由は、りんごが赤い光を出しているのではなく、りんごが赤の補色である色(青緑)を吸収するため、我々の目には青緑よりも赤の成分が強くなって赤く見えるのである。つまり物体の色がその色たる理由は、その色の補色を物体が吸収するからである。

まとめ

「色とは光の波長領域に名前をつけたものであり、我々が見る物体の色は、その物体が吸収する色の補色である。」
今回の内容は、冒頭に結論として載せたこの一文に全て詰まっているので、これが理解できれば素晴らしいことである。これから、例えば綺麗な紅葉を眺めたときには「この赤々とした葉っぱたちは補色である青緑に対応する波長の光を吸収しているんだな。」と思ったり、例えば深い緑を有した葉を見るときに「この葉は緑の補色である赤紫を吸収しているから緑なんだな〜。たのしぃぃ」と思えたら、それもまた面白い。(あまり言い過ぎると嫌がられる場合があります。炎色反応を長々と説明する理系男子のように。)

余談

本稿では、「色とは何か、物体の色と補色の関係」について紹介しました。ここでさらに面白い話として、
①物体はどのようにして光を吸収するか
②見えない色を「見る」
③空は何故青いのか、夕日は何故赤いのか
というお話があります。①は量子力学、化学を用いて説明されたりします。②は可視光領域にない光を、肉眼ではなく機械を通してみようというお話で、X線天文学などに応用されています。③は、実は電磁気学のなかなか進んだ話です。これらについては今後まとめます。
Reference
[1] www.konicaminolta.jp
[2]www.my-craft.jp
[3]
http://simplemodern-interior.jp/overseas-interior/反対色インテリア/